今回の記事では床材の耐用年数についてまとめていきます。床材は建築内部の床に使用する仕上げ材のことです。主にフローリングやタイル、カーペットや日本だと畳などがあります。床材の違いで耐用年数はどれほど変わるのでしょうか?
床というのは住宅の中で最も長時間肌が接する部分でもあり、自身が住む上でも、オーナーとして第三者に貸し出す上でも気を遣うべき箇所となります。また、賃貸ビジネスにおいてフローリングは費用対効果とROIが抜群で、不動産経営者であれば尚更、床材について詳しく把握しておく必要があるので要チェックです。
フローリングの耐用年数の比較表
日本で一般的に解釈されているフローリングとは木質の素材を指します。そういった意味で今回は木質のフローリングだけでなく床材全般、すなわち畳やクッションフロアも含めて比較します。
床材 | 耐用年数 | 耐久性 |
---|---|---|
無垢フローリング | 30年 | 〇 |
複合フローリング | 10~15年 | ◎(傷がつくと修繕しにくい) |
クッションフロア | 10年 | △ |
フロアタイル | 10年以上 | △(水に強いが凹みやすい) |
畳 | 畳表10年/畳床20~25年 | 〇(カビやダニの発生あり) |
無垢のフローリングは総じて耐久性が高く、それに応じて耐用年数も長くなります。無垢材といえどもちろん傷はつきますが、天然の素材の場合、そのような傷が経年美化に繋がることもあり、一概に悪とは言えない傾向があります。
複合フローリングは木材の表面に化粧材を貼り合わせた床材です。耐久性がある反面、傷がつくと修繕しにくいという特長があり、それ故耐用年数は10~15年目安と短めに設定されています。
床材を種類別に見ていく
次は各床材ごとにどのような種類があるのか見ていきましょう。床のことを日々の生活で意識することはあまりありませんが、実はたくさんの種類があり、床の違いで見た目も機能面でも大きく変わってくるのです。
無垢フローリング
そもそも無垢フローリングとは何でしょうか?無垢材でできたフローリングで、無垢材とは一本の木から採れる木材をそのまま使用するときに使われる言葉です。すなわち、複数の木を接着剤などを使用してくっ付けられた合板などとは違い、最も木の自然体に近い素材だということです。
オーク
硬い材質で、高級感溢れる木目の人気の高い木材です。安定性と耐水性に定評があり、床材のフローリングだけでなく、家具や内装材としても使用されています。
カバザクラ
緻密な木肌が美しく、材質は少し硬めで、衝撃や圧縮にも強い特性を持ちます。光の加減で表情が変化する光沢を放ち、温かく、ぬくもりのある空間を演出するのにおすすめの床材です。足腰への負担も少ないことからダンスフロアや体育館の床材としても採用されています。
モミ
モミは針葉樹なので、肌触りは他の広葉樹に比べてやわらかいのが特徴です。色味は通常白っぽく、フローリングに使うと部屋の雰囲気が明るくなります。モミの無垢フローリングは、自然乾燥されていれば高い調湿効果を誇り、見た目や材質として優秀なだけでなく、健康に良い家を作るための木材としても注目されています。
参考記事:調湿効果が高い自然素材はどれ?本当は珪藻土よりモミの木
チーク
世界三大銘木の一つで、無垢材の中でも価値が認められ、人気の高い樹種です。硬く強靭な材質を持ち、耐久性・耐水性にも優れており、害虫にも強く寸法も狂いにくく安定した床材です。加工もしやすく、経年変化も楽しめるので幅広い分野で楽しむことができます。
アカシア
一般的に硬く粘りがある材質で、衝撃力や曲げにも強く、耐久性も持ち併せ、腐りにくい特徴を持ちます。色合いもバラエティー豊かでたくさんの表情の変化を楽しむことができます。長年使い込むことで上品な飴色に変化し高級感さえ彷彿とさせます。歴史の中でも古くから高級家具材として用いられるなど、昔から人々の暮らしに寄り添い続けてきた非常に由緒正しい無垢材です。
ブラックウォールナット
深い色味が特徴で、古くから高級家具だけではなく、ピアノやギターといった楽器から大聖堂の家具や、最高裁判所の台やイスにも使われてきた格式高い木材です。優れた加工性と適度な堅さ、粘りがあり、接着性にも優れています。家具や複雑な模様を形成するには最適で、ホテルやバーなどのモダンな空間作りの演出に適した無垢材です。
複合フローリング
上述した通り、複合フローリングとは合板や天然木の表面に化粧材が貼られた床材です。無垢フローリングよりもコストが抑えられ、そこそこの耐久性があるため一般的な床材の一つとして使われています。
巻き板
天然木を、のこぎりで2㎜程度の厚みに挽いたものを言い、その挽き板を基材に貼り合わせたフローリングのことを指します。挽き板は、表面材に厚みがあるため、無垢材と同じ質感です。基材に合板を使用していますので、反りやゆがみなどが起こりにくいです。
突き板
木材を0.3~1㎜程度の厚さにナイフで突いた(=スライスした)ものを言い、その「突き板」を基材に貼り合わせたフローリングのことです。オーク、ウォルナット、メイプルなど様々な種類の天然木を使用しており、機能性と手頃な価格帯が魅力です。
シート
オレフィンなどの樹脂や紙などに木目模様をプリントしたシートを基材に貼り合わせたフローリングです。手入れもしやすく、天然木に比べ安価なものが多いですが、木目をプリントしているため、天然木独特の経年の変化による風合いはありません。
クッションフロア
塩化ビニール素材で作られた、厚さ1.8mm~3.5mmのシート状の床材です。水を弾くことが特徴で、主としてキッチンや洗面所、脱衣所、トイレなどの水回りに使用されています。また施工は、ボンドか両面テープで行える簡単な床材でもあり、クッションフロアは柔らかいので、はさみやカッターで簡単に切ることが出来るので、DIYが初めての方でも気軽に挑戦しやすい床材です。(クッションフロア施工専用のカッターもあり、より綺麗に切ることが出来ます)
フロアタイル
塩ビ素材で出来た床材です。 フロアタイルはクッションフロアと少し違い、デザインされる木目柄や石目柄は凸凹も再現されるので、本物に近いデザインが特徴です。また、クッションフロアと違いクッション性が無いのでフロアタイルは傷などに強く土足も対応している物もあります。
フロアタイルのデザインの種類種類としては下記のものが多いです。
- 木目
- オニックス
- 石粒
畳
日本の伝統的な床材です。芯材になる板状の畳床の表面に、イグサで織って作った敷物状の畳表を張り付けて作られます。畳床として使われる素材にはフォームポリスチレンなどの建材を使うのが主流ですが、昔ながらの伝統素材である圧縮した藁を使うことがあります。
まとめ
いかがでしょうか。やはり、耐久性と耐用年数のバランスを考えると、無垢フローリングがおすすめです。種類も豊富ですし、様々な用途もあります。複合フローリングに関しては傷がつくと修繕しにくい点がありますが、耐久性、耐用年数もよくバランスの良い素材と言えます。
畳に関しても他と比べると耐用年数が長いですが、5年使用後に畳を裏返す必要があり、カビやダニを発生させないように管理したりなど、手入れが大変な面もあります。 どの床材を使用するかはもちろん自由ですが、耐用年数や耐久性、それぞれの床材の特徴を加味した上で、選んでみるのも良いかもしれません。